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痛みの原因と漢方理論
   ”通ぜざれば痛む”

 漢方の原典「黄帝内経素問」に痛みやコリは「痺症ひしょう」に属し、”痺”は「ふさがって通じない」という意味があります。何らかの原因で経絡(けいらく=栄養を運ぶ道)に気(き=全身を廻るエネルギー)や 血(けつ=血液とその働き、栄養物質)が流れなくなり塞がると、それが痛みを引き起こすというのが漢方の考えです。
 
 漢方ではこの状態を ”不通則痛”といって「通ぜざれば痛む」と表現しています。
中医学漢方では ”風ふう””寒かん””湿しつ”などの外邪(外因=環境因子)が経絡(つぼ)の流れを塞ぎ痛みを引き起こすと考えています。

 風・寒・湿につけ込まれるのは自分の体力の虚弱(正気不足=内因)にあり

 では、どうして気・血が滞るのか。その根本原因は主に体質が虚弱で気血などの正気(環境因子に対する人体の防衛能力)が不足しているためです。正気の不足に乗じて外邪(外因)である風・寒・湿などの邪が身体を襲い、皮膚、筋肉、関節などを侵します。その結果、疼痛、だるさ、こり、しびれ、腫れなどの症状が現れてくるのです。
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  痛みをもたらす邪(原因)によって症状は異なる 

 以上のような原因で「痺症」の痛みやこりが引き起こされるのですが、その症状は原因によってそれぞれ異なります。
● 風邪(ふうじゃ)が原因となる「風痺ふうひ」は痛みがあちこちに走ったり、しじゅう起きたりする疼痛としびれのことで発病初期に多い症状です。

● 寒邪(かんじゃ)が原因となる「寒痺かんぴ」は同じ場所が痛む、固定性の激しい痛みで冷えると痛みは強くなります。

● 湿邪(しつじゃ)が原因となる「湿痺しっぴ」は身体や四肢が重く、だるく痛み動かすのが苦痛

● 熱邪(ねつじゃ)が原因となる「熱痺ねっぴ」は痛みと共に赤く腫れたり、熱を持ったりし風、寒、湿の邪が長く続いたときや体質により炎症をおこすもので、急性・慢性関節リュウマチ、関節炎などに変化することもあります。

これらの邪は単独で現れることは少なく、寒と湿・湿と熱が結びついた複合症状になることが多く、症状の分別が必須であり、生薬の選定も複雑になります。発症場所も皮膚の間に滞るものや筋肉の間に滞るものがあり場所により治りやすいもの、治療に時間を要する場合があります。
 このほかの邪に病理的産物である血の滞りの瘀血(おけつ)、体内に貯留した異常な水液である痰湿、ストレスなどから発生する気滞などもあり病状は複雑になります。この病邪については後日に記したいと思います。

  中医学漢方による治療法 

 中医学漢方では痛みの根本原因は正気不足で機能失調或いは抵抗力の低下という「内因」にあり、外界変動による「外因」は単なる発病条件とみていて「外因は内因を通じて初めて発現する」と考えていますので、治療原則は内なる正気を扶助し外からの病邪の除去の両面を考慮した扶正袪邪(ふせいきょじゃ)を行います。扶正をすることで単に痛みを止めるだけの対症療法でなく痛みの発生源を手当てする根本療法であるということができ、再発を防止することができます。

3000年余の漢方医療の治験に裏づけられたこの素晴らしい理論を、QOLの改善に、また健康寿命を長らえるためにお役立ていただきたいものです。





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by home-k | 2014-10-05 12:28 | 痛みと漢方