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お血と微小循環障害 Vol.15 -痛風の漢方的考察②ー
 痛風の生い立ちは胃腸(脾)の働きが大いに関与しています。胃腸の働きは飲食物を栄養化し、全身に送り届け、また飲食物質に含まれる余った水分を肺や腎の気化作用により尿や汗として体外に排泄することを仕事としています。

 甘いもの、脂っこいもの、味の濃いものなどを食べ過ぎたり、お酒が多かったりすると胃腸系の働きに負担がかかり、正常な仕事が出来なくなり余分な水分や脂質が溜まって「痰湿」が生じます。痰湿は血液の中に移行し血流を妨げ「痰湿お血(たんしつおけつ)」という状態を引き起こします。ここまでは前回の記事でも記しました痰湿お血型の痛風の生い立ちです。

 ところが最近、ストレスや思慮過度などがプラスされた気滞型痰湿お血の痛風が非常に多くなっています。社会生活の複雑化で精神的な緊張、情緒の過度の変動など自律神経系の過緊張がストレスと化し、また過度の思慮や現実化しない思念などは気の滞りを生じさせます。
気の滞りは胃腸系の本来の働きを弱め非生理的な物質(痰湿=尿酸)を溜め込むようになります。痰湿は血管運動神経系も失調させ「お血」を発生させます。気の滞りや血の滞り(お血)が長期化すると鬱熱となり痰湿は化熱し水が温まる感じになります(漢方では湿熱という)。

 このような痛風を湿熱気滞お血型痛風といい今、一番多いのではないかと思います。手足はだるく熱く大小便は不爽、舌下静脈は怒張、舌の苔は白く厚く或は黄白色の苔がべトットついたり、舌に紫色の班点があるなどが観察されます。

 漢方での対処は気の滞りを解くこと、気のめぐりの改善が優先されます。中国医学の古書に「よく痰湿を治するものは、痰湿を治せずして気を治す。気順ればすなわち一身の津液も気について順るなり」「気めぐれば血めぐる」「気が滞れば血も滞る」「百病はみな気から生まれる」「百病はみな淤から生まれる」と指摘しています。体の水や血は「気」に付いて巡っていると考えています。

 この様な症状がある時、漢方では柴胡、青皮、木香、佛手柑、白求、茯苓、薏苡仁、山薬などで気の巡り(気滞)と水分代謝(痰湿)などを改善する生薬を使い(疏肝健脾薬)、さらに山慈茹、沢瀉、車前子,金銭草(カキドオシ)、大黄、丹参、田七人参、赤芍などで鬱熱を冷まし血の巡り(お血)を改善する活血化於利湿薬を使い痛みや腫れに対処し、尿酸の排泄や生成押さえ
ることが出来ます。山慈茹(サンジコ)は新薬でも繁用されているコルヒチンを含むので注目されています。

 日常生活で、食養生として総エネルギーの制限、運動、気分転換を心掛け内臓に負担をかけないように大切にしたいものです。



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by home-k | 2007-07-25 22:59 | お血(おけつ)