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お血と微小循環障害 Vol.19  -しもやけ・治験例ー
 しもやけ(凍瘡)は寒い冬の皮膚疾患で、一般に寒冷にさらされたために血行障害を起こしたものと説明されています。しかし実際は真冬には少なく、意外にも晩秋や早春に多く発症しています。このことは、この季節の湿気が寒冷と重なり凍瘡を引き起こすことを意味しています。

 寒冷(寒邪)は体の組織を収縮させ、湿気(湿邪)は気や血のめぐりを妨げ滞らせる性質があるので相乗して局部の静脈に循環障害のうっ血を引き起こします。漢方での凍瘡は「寒・湿の邪による瘀血(おけつ)」に分類され、本格的な微小循環障害の発生です。

 瘀血(おけつ)の考えは漢方にしかなく、その理論は確立されていて臨床面でも高く評価され応用されています。凍瘡もこの理論なくして改善は不可能です。ただシモヤケの原因は寒冷と湿邪ですからその手当ても必要になります。西洋医学ではビタミン剤位しかなく効果は期待できません。

  治験例  45歳  OL   160cm  57kg      2001.11初診

 28歳ころから手の甲~全指に多形滲出性紅班型の凍瘡発症。秋風を感じる9月中頃にムズムズし始め毎年赤紫色にうっ血・水泡・びらんし甲の一部はジクジクして潰瘍化も見られる。
病院の治療も辛抱強く受けたが改善は見られず、ここ数年あきらめて何もしていない。

 問診から気の滞り(イライラ・憂鬱・不安感・偏頭痛・不眠・仕事のストレス多いなど)、瘀血(生理痛・生理血に塊多い・不妊症・患部赤紫色・舌暗紅色など)、痰湿(肥満・患部腫れ・水泡・舌苔白・歯痕など)等の体質と判断し、気や血のめぐりを改善する理気薬・活血化瘀薬(かっけつけおやく)、水(湿気)滞にたいし袪湿散寒薬を服用していただいた。

1年目:潰瘍が治癒、患部はかなり縮小。理気活血薬はシーズン外も継続。
2年目:発症が11月に。患部はさらに縮小、水泡、びらんなし。
3年目:治癒かと思ったが11月中ごろ発症、さらに縮小し素手でいられるのが不思議の由。
4年目:お正月をきれいな手で迎える。完治。
この方の場合、1年目で最も気になる潰瘍が治ったことで、漢方の効果を信頼していただき指示どうりシーズン外でも継続服用したことが完治になったのではないかと思います。

生活環境の変化から凍瘡は少なくなっていますが、治らないと諦めている人は漢方の門をたたいてください。お血の理論に期待してください。


 漢方ホーム薬局のHPはこちら

  

 
by home-k | 2007-11-30 15:44 | お血(おけつ)