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味な話  -酒と肴-
 お酒の美味しい季節になりました。湿気の多い夏とは違い空気も澄んできて、月もクッキリ、月見酒もいいですね。

 最近の日本酒は甘口が多くなり辛口が少なくなってしまいました。
 本来「酒呑みは辛党」というように、上戸には辛口好みが多いように思います。
 酒呑みは味音痴と云う人もいますが、適度な酒呑みの味覚ほど確かなものはありません。
 酒呑みがうるさいのは酒の甘・辛だけではなく、酒の肴を選ぶにもそうです。日本酒の肴に甘いものでは酒が進まず、塩からいものや酢っぱいものが合います。でも長い酒席ですと、塩や酢の味だけでは物足りなくなり、何か探すと、意外にもニガウリ、ギンナン、ふき、タケノコなどのほろ苦い味が合ってきて、また酒が美味くなります。
 これは酒呑みが味音痴ではない何よりの証拠です。

 外国でもアルコール度数の高い蒸留酒を飲むときビッター(苦味酒)をコップにたらすのもこの原理です。
 ビールなどは、その点、大変うまく味覚を調合したお酒といえます。ビールにはホップという苦味が入っていて、この苦味がアルコール分を解毒し利尿するので、からだの熱を冷まし悪酔いを防いでいます。
 水だったらこんなに飲めないのにビールだと何リットルもの水分が入ってしまいます。
 ビールはその味覚の原理をうまく使っているのです。

 漢方では辛開苦降(しんかいくこう)という水分代謝を改善する治療法がありますが、これは辛味でめぐりを良くして、苦味で解毒利尿するという考え方です。
 日本酒に限らず辛いものを口にする時は、苦いものも一緒に摂ることが食養生として大切なことです。
 二日酔いの薬などもこの原理で調合すると、漢方薬と云えどもビックリするような即効があります。

 日常の生活でも、自然界の甘い・辛い・塩からい・酸っぱい・苦いの五つの味を上手く組み合わせると、生活習慣病を予防し、明日への活力を養うことができます。
by home-k | 2005-09-05 21:41 | 食養生