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カテゴリ:ドライマウス( 6 )
ドライシンドローム研究会  漢方とドライマウス ⑥
 昨日(2010.05.30(日))は東京・銀座でドライシンドローム(乾燥症候群)の研究会があり、参加してきました。

 最近、秋や冬の乾燥期でもないのに、保湿クリームが手離せないドライスキン、口の中が乾燥するドライマウス、目薬が手離せないドライアイ、女性の更年期以降に多い膣の乾き痛みのドライバジャイナなどドライ症状を訴える方が多くなっています。

 原因は当ブログ(下記参考)にも記しましたが①ストレス ②間違った食生活(カロリーや激辛の過多) ③加齢による臓器機能の低下 ④エアコンの過用 ⑤新薬の副作用(抗うつ薬・向精神薬・抗アレルギー薬・降圧薬・抗パーキンソン薬など) ⑥糖尿病などの慢性疾患など・・・です。

 特にストレスの関与が多く見られるドライマウスは、歯科を受診される方が多いと思いますが、これという対処法がなく大変困っている状態のようです。

 先日(5月9日・日曜日)、読売新聞にドライマウスに悩む方の記事がでていました。記事には「主婦Aさんは、約2年前歯科通院をきっかけに歯の痛みや舌のしびれに悩まされるようになった。親の介護による心労も重なり痛み止めや抗うつ薬など大量の薬を服用、副作用で口が渇き、食事や会話もおぼつかなくなった。多くの病院や歯科を受診したが治らない」。
・・・この方はその後、漢方薬で改善されたとありました。当薬局でも著好例があります。

 今回の研究会での演者発表によれば、130の症例中原因はストレスが一番多く、次が季節柄、次いで加齢によるとのことでした。

 ドライシンドロームを中国医学(漢方)で考えると、結果的には体の潤い物質の不足(陰虚体質)ですが、それ以前にストレス(気滞体質=気の流れが悪い)や水の流れが悪い(痰湿体質)ことが引き金になることもありますので、その弁証をすることで治療効果を上げることが大いに期待できます。治療の確立されている中国医学による漢方薬を是非お試しください。

参考ブログ;当ブログ・ドライマウス
 2007.1.31 ①咀嚼が足りない
 2007.2.09 ②咀嚼と唾液その効用
 2007.2.23 ③ドライマウスと漢方
 2007.3.07 ④ドライ体質は陰虚
 2007.3.29 ⑤舌の痛みに悩む女性治験例



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by home-k | 2010-05-31 14:27 | ドライマウス
ドライマウスで舌の痛みに悩む女性 ーカム噛む⑤ー
 52歳 主婦 155cm 46kg 「1年位前から口中の乾燥と舌の痛みが酷くなり病院で鉄剤を処方され服用しているが改善されない」と来店。
 
 症状は唾液が少なく口中が粘った感じでさっぱりしない。乾燥感がいつもあり話しもおっくう、水を離せない、唇があれる、口角炎がよくできる。舌が痛い、香辛料や酸っぱいもの・熱いものは痛みが増すので食べられない。のぼせる、頬が赤い、小食、足がほてる、小便が遠い。舌は紅で苔がない、中央に割れ目あり(裂紋舌)、表面が乾いて潤いがない。胃潰瘍手術。

 この方はOPEにより胃腸が食べ物を栄養化する働きが低下して血の生成源の不足が根源にあり、血の不足の程度が進みその液体部分である体内の正常な水液も不足(津液不足の陰虚と漢方では表現します)してドライマウスを発症したのではないかと思います。

 治療は胃腸の働きを補う人参、山薬、蓮肉、白朮、茯苓、白扁豆などを主に使用し、また陰虚体質は自律神経の過亢進も起こしやすいのでその手当ても同時におこなった。2ヶ月の服用で日常生活にほぼ支障がなくなった。

 この方の場合は噛むことを怠けた結果の口腔乾燥症ではなく、OPEなどによる器質的なドライマウスなので治療に手間取るのではないかと思いましたが意外と早く良い結果をえることができました。

 よく噛むことで記憶を主る海馬が活性化され、また、唾液は血管拡張物質や神経成長物質などの生理活性物質を含み体に思いもかけない良い影響をあたえます。血管拡張物質の不足は血の滞りになり「お血」の始まりにもなります。

 6回にわたり「噛む」ことの大切さを記してきましたが、改めてそれを認識させられました。
良い食べ物をバランスよく,よく噛んでいい人生を送りましょう。


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by home-k | 2007-03-29 18:12 | ドライマウス
カム かむ EVERYBODY④ードライ体質は陰虚体質ー
 中国医学(漢方)では「体は気と血と水を基本にして構成されている」と考えています。
気・血・水は健康を支える三本柱といえ、「気」は生命のエネルギー、「血」は血液及びその機能、水は血液以外の水分及びその機能を指しています。この三っが充実して、スムーズに巡れば人は健康状態を保てますが不足したり巡りが滞ったりすれば人は健康の枠から外れていきます。

 前回のブログで、「水(すい)」の不足は「陰虚の体質」と分類しましたが、「陰虚」は血虚(血の不足)の程度が進み体の生理的な水分(津液=しんえき)が失われた状態で栄養不良、脱水、自律神経興奮などが見られるようになります。

 水は「陰陽」の陰に属し体内の陰陽バランスを保つために「体を潤し熱を冷ます」という重要な役割をしています。水が不足すれば体の陰陽バランスが崩れ陰の不足による熱が現れてきます。

 よく女性は、更年期が近づくとのぼせ、ほてり、カーッと汗をかくなどの症状に見舞われますが、これも体を潤す水が不足して熱が出やすいことと関係しています。更年期にドライマウスの訴えが多いのも源はここにあります。

 その他、「陰虚」の人などはやせ気味、頬が赤みをおびやすく、微熱、耳鳴り、寝汗が現れやすくなります。また、体の潤いが不足するため、肌のカサカサ、から咳、鼻の乾き、目の乾燥、口燥、唇のヒビワレ、便が兎糞様で硬く、舌の色は赤く、時に表面に裂け目があったり(裂紋舌)します。

 このように、最近多くなっているドライマウス、ドライスキン、ドライアイ、ドライノーズなどのドライ症状は漢方では上記の陰虚体質の一連の症状であつて局所的な病気とは捉えず補肺・腎・脾でその陰(水)を補うことで複合的な症状を改善することが可能です。ドライマウスを口だけの問題とする西洋医学の局所的な捉え方とは異なものといえます。

 噛んでも唾液が出ない人も「よく噛むこと」に努力し、漢方の滋陰薬で陰虚体質の全体を改善をする事で唾液腺を復活させ、その効用にあやかることが出来るようになります。

 健康を保つ秘訣は中医学の気・血・水の考えから自分の体質を知り、毎日の生活や食事の中で足りないものを補い、滞ったものを巡らせることが大切です。


* 気・血・水の過・不足による体質の見分け方は2005.12.21・23・26の当ブログの「自分でできる漢方的体質の見分け方」を是非ご覧ください。
 「自分でできる漢方的体質の見分け方 1」 2005.12.21
 「自分でできる漢方的体質の見分け方 2」 2005.12.23
 「自分でできる漢方的体質の見分け方 3」 2005.12.26

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by home-k | 2007-03-07 17:26 | ドライマウス
カム かむ EVERYBODY③ードライマウスと漢方ー
 最近、老若を問わずドライマウス(口腔乾燥症)の方が多く来店されます。噛む努力不足で唾液が足りない人は論外として、噛んでも唾液が出ない人が多くなっています。推定800万人とも言われていますが唾液の分泌が減って口中が乾き、ひどい人ですと水分なしでは食事が出来ない、舌が痛いなどの訴えがでてきます。その乾き具合は水をゴクゴク飲みたくなる「口の渇き」ではなく少しの水で潤をせばいい程度の「口の乾き(口燥)」が特徴です。

 原因は加齢による臓器の機能低下、間違った食生活、エアコンの多用、ストレス、薬の副作用(抗うつ薬、向精神薬、鼻炎薬、血圧降下薬、抗パーキンソン薬など)等多くの原因が指摘されています。

 西洋医学での解説は数多くありますので、ここでは漢方医学(中医学)での考えをお伝えしたいと思います。

 ドライ(DRY)は「乾燥、水気のない、水の枯れた」など水の不足を意味しますので漢方ではこの様な水という物質の不足を「陰虚の体質」と表現しています。漢方医学の基本的な理論の「五行学説」に五っの体液を示す「五液」が記されていて、それによると唾液は腎の液(*)、涎(*)は脾の液、涕は肺の液、涙は肝の液、汗は心の液といい五臓の働きに関係があることを述べています。

 唾液や涎の過・不足は腎や脾の臓器がその働きに虚を生じたときになるとしていますのでその不足のドライマウスは腎や脾の陰虚(水分の不足)にあることは明白です。

 また、腎や脾の水源の水分が少ない状態は肺に供給される水分も当然少なくなりますので肺は陰虚になりドライマウス、ドライスキン、ドライノーズ(DRY NOSE鼻が痛むように乾く)を引き起こします。

 ストレスは肝の働きに悪影響を及ぼし自律神経は過亢進し唾液や涎は正常にあっても水分の巡りが悪くて口腔を潤せなくなります(水滞)。いま、このタイプの方が多いように思います。

 このようにドライマウスは五臓と五液の関係から腎、脾、肺、肝の臓器にその根源があることであり漢方での治療はこれらの臓器に働く生薬で根本から改善することができます。地黄、麦門冬、沙参、枸杞子、胡麻仁、黒豆、人参、山薬、黄精、玉竹、芍薬、柴胡、香附子などを含有した方剤が繁用されます。

 * 唾は腎の液:唾は口中の津液(体内の全ての有益な水分)であり唾液の中で比較的ネットリしたものを指します。唾は腎気の変化したものであり、これを飲み込むと腎中の精気を滋養することができる。このことから導引家は唾液を口いっぱいに満たした後これを飲み込んで腎精を養ったと言われています。

 * 涎は脾の液:涎(えん=よだれ)とは唾液の中の清い液のことで、これには口腔粘膜を保護し口腔を潤す作用があり食を摂ると涎の分泌が増え嚥下と消化を助ける。涎は病的なよだれとは異なるものです。 

 当店HPのURL http://www.homek.biz
by home-k | 2007-02-23 18:37 | ドライマウス
カム かむ EVERYBODY ② -咀嚼と唾液・その効用ー
 唾液は耳下腺・顎下腺・舌下腺の三大唾液腺から大部分が分泌されています。通常一日に1~1.5リットル位分泌されますがその量は噛む(咀嚼)回数にも左右され、噛む回数の少ない人では半分になることもあります。
 唾液には50種以上の有益な物質が含まれますが耳下腺・顎下腺からは比較的サラサラの唾液が、舌下腺からは粘く濃い唾液が出ています。

 よく噛んで唾液を十分に出してその効果を当てにした食生活を心がけたいものです。
1 ストレスの解消 
咀嚼には大脳の覚醒作用があり、よく噛むことで大脳の血流が増しそれによる快感の信号であるアルファ波が出現します。気心の知れた仲間達との飲み会・食事会は最高のストレス解消になります。初対面の場合も食事を共にすることで相互理解が進むことが多いと思います。

2 肥満の予防  ー早食いは太るー 
ものを食べて血糖値が上がるまで約30分かかります。早食いで食べ過ぎてしまう人はこの間に満腹感が得られず、ついつい詰め込んでしまいがちになります。満腹中枢の反応を感じながら、よく噛みゆっくり食べることが大切です。また、ヒスタミンやノルアドレナリンの分泌量が調整されますのでカロリーの燃焼や代謝が高まり肥満の予防になります。

3 脳が活性化され記憶力が高まり「ぼけ予防」
 脳血管は拡張し血流が増えるので脳の栄養剤であるブドウ糖や酸素が十分に供給され脳は活性化される。
 久留米大医学部の末永教授は「ガムを噛みながら車の運転をすると信号の認知やブレーキ・アクセルの操作が機敏になる」といい、神奈川歯科大の小野塚教授は「ガムを噛んだ後fMRI(機能的磁気共鳴断層撮影)で脳の活性化を調べたところ記憶を主る海馬が活性化した」と発表しています。
 また、パロチンという若返りホルモンが耳下腺から分泌されるので老化防止にもなります。

4 ガンの予防 
唾液中のラクトペルオキシダーゼは発ガン性物質を作り出す活性酸素を減らす。

5 虫歯の予防
 多量の唾液は口中を自浄し、食べ物の酸を中和する。さらに、唾液から浸透してくるカルシューム・ハイドロオキシアパタイト・フッ素などにより歯の修復(再石灰化)が行はれ溶かされたエナメル質を修復する。虫歯の成り立ちは虫歯菌が歯を溶かすスピード(脱灰)と唾液成分が歯を修復するスピード(再石灰化)のバラン スが崩れたときに発生するといわれています。

6 最高の消化剤
 口は消化器の第一関門、噛むことも消化、唾液中のアミラーゼも消化を促進、胃に歯は無いのです。「かまないオカユ」を食べるよりよく噛んで「口中でオカユ」を作るイメージが大切なのではないでしょうか。

 まだまだその効用は沢山在りますがまたの機会にしたいと思います。
次回は噛んでも唾液が出ないドライマウスを探ってみたいと思います。


ただ噛めばいいのではなく「よく噛み、よく味わって、リラックスして楽しんで食べる」ことを習慣づけたいものです。

 参考文献:咀嚼健康法(上田実著) 歯はいのち(笠茂享久著) 田沼敦子エツセイ


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by home-k | 2007-02-09 12:56 | ドライマウス
カム かむ EVERYBODY ① -咀嚼が足りないー 
 1月14日の当ブログで「カム かむ 咬む 噛む 30」を提案させていただきました。

 食べるという行為は単に味覚を刺激しているだけでなく同時に知覚・嗅覚や触覚をも刺激しこれらの莫大な情報量は食事をするたびに脳に送られています。私どもが持っている感覚器としてもピカイチでこんなにすばらしいセンサーは他にありません。このように「かむ」咀嚼行動と脳は密接な関係をもっており、噛まないこと即ち咀嚼不足は脳の働きにも少なからず影響を与えることになります。

 豊かな脳に育てる秘訣はこんな所にもあるのです。

 神奈川歯科大の研究発表に、昔の食事と今の食事の噛む回数を比較したものがありますが、弥生時代の食事は魚の干物、木の実、玄米のような穀類が主で一食につき4000回の咀嚼が必要で、それに対し今時の食事は約600回なつてしまった。ちなみに戦前は約1400回ということですから年々減少の傾向にあり本当に憂うべきことです。

 学校薬剤師として私の関係している学校や幼稚園でも粉食加工品の麺類・スパゲッティやうどん、パン、カレーライス、ハンバーグ、スープなどは大人気で豆類や硬い野菜は残す生徒が多いと言う事です。やはり簡単に食べられる粉食の加工品にについ手が出てしまいがちになりますが硬いものが多い粒食の比率も高めたいものです。早く食べることが先で「味あう」「かみしめる」が疎かになりつつあります。家庭は勿論のこと給食の時間も「よく噛む」ことの大切さを知らせなくてはならないと思います。

 良い食べ物をバランスよく、良く噛んで食べることは健康づくりの土台であり、豊かな人生を送る出発点です。



次回は「唾液と噛む効用」についてもう少し掘り下げてみたいと思います。

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by home-k | 2007-01-31 23:20 | ドライマウス