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お血と微小循環障害  ⑧  -外痔・内痔ー
 発症場所からしてつい放置しやすいのですが日本でも痔主さんはかなり多いのではないかと思います。痔疾患は蒸し暑い初夏に多く見られますが秋にも意外と多いのです。

 これは中医学の基本的な考え方に「五行説」という方程式があり中医学では肺の働きを「宣散・粛降」作用といってエネルギー(気)や栄養物・有益な水液を全身に送り届けるとされています。また、肺と大腸は表裏の関係にあるとも言っています。

 この働きが秋の乾燥や秋冷により失調すれば肺はその働きができずその支配下である大腸にまで影響が及び大腸の末端である肛門部分に異常が現れ気や血が滞りがちになります。秋は乾燥性の咳が多くなり便秘などの訴えも多くなるのもその影響が及んでいるためです。この季節は秋ー肺ー大腸のラインに要注意です。こんな時、本来は咳の漢方薬である五虎湯(ごことう)を使うと効果があります。漢方の面白みはこんな所にもあります。

 西洋医学では痔の原因を静脈のうっ血とみていますが、これは立派な微小循環障害の一つといえます。漢方では「お血」(おけつ:血の滞り)の範疇になり痔の存在は「おけつ」があると診ています。肛門付近の静脈には血液の逆流を防ぐ弁がないのでチョットしたトラブルでも血液は滞りやすく肛門周辺に血管のコブを作りやすいのです。こうして出来た静脈のコブが静脈叢で痔の芯となり、これが痔核といわれ一種の血栓の状態を示します。

 痔の原因はこの「お血停滞型」が最も多く毛細血管のめづまりを改善できる「活血化お法」の漢方療法が最適といえます。病院ではOPEなどで対処しますが血の滞り体質を変えなければ再発を繰り返すことになります。

 中国・北京の街路樹にはエンジュの木(クララ属まめ科)が多く植えられていますがこの花蕾(槐花)や成熟果実(槐角)は痔に良く使われます。主成分はルチンで毛細血管補強作用があり止血剤として漢方処方に多用されています。ワレモコウ(地楡)、ノアザミ(大薊)などと共に使われています。
中国には「十人九痔」という諺がありますが10人いれば9人は痔という例えなのでしょうが中国でも痔の人が多いようです。街路樹にエンジュの木を植えたのも生活の知恵なのでしょうか?。

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by home-k | 2006-10-31 18:10 | お血(おけつ)
金時山の花 Vol.9
 春から沢山の花を楽しませてくれた金時山の草花たちも秋が深まると共に少なくなってきました。今年は15年の金時山登山歴の中でも今までに無くイノシシの食害?がひどくユリ根など球根類をゴッソリやられてしまいました。あちら様からすれば「おれの縄張りだからどうしようと勝手ダロー」と言いたいのでしょうがせめて登山道の近くはご遠慮願いたいのです。それとも来年は「干支」ゆえ栄養をつけて良いとこ見せたいのかも・・??。

 センブリやリンドウ、ダイモンジソウが咲いていました。

 センブリ  リンドウ科:センブリ属
  日本古来の民間薬として有名で「千回振り出してもまだ苦い」のでこの名があります。苦味が胃を刺激して胃腸の働きを改善するので消化不良、食欲不振に繁用されています。漢方薬としては使われていません。
  
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 リンドウ  リンドウ科リンドウ属
  薬用部分を漢方名「竜胆」「竜胆草」といい、苦い薬の代表に熊胆(ゆうたん:くまのい)がありますが更に苦いというので最高の苦さの竜の胆(きも)という意味で「竜胆」と名付けられたとのことです。漢方では「竜胆瀉肝湯」として膀胱炎や急性難聴に他薬と配合して繁用します。
  ★病院で効果のなかった急性難聴のお客様に使って大変感謝されたことがありました。
 
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 ダイモンジソウ  ユキノシタ科ユキノシタ属
  花の形からその名があります。数年前に見たきりお目にかかれませんでしたが今年はなんとしても写真に収めたいとベテランさんから情報を聞き見つけました。日陰にこっそりきれいに咲いていました。ユキノシタと同様に中耳炎や耳だれに使われたようですが今は使われません。
  
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「薬」という字は「草かんむり」に「楽」と書きます。草で楽になるのが本来の薬で、草の薬(漢方薬)こそ人に優しく病を治す薬と言えるのではないでしょうか。


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by home-k | 2006-10-24 18:21 | 箱根・金時山の花
学問の秋   -アトピー性皮膚炎と漢方ー
 秋は医学会をはじめ薬学会、漢方の学術大会など行事が目白押しです。
その一つ私の最もお世話になっている漢方療法推進会の全国学術大会が昨日(10月19日)神戸で開催され店を休業して参加してきました。大会のメイン講師のDr.の講演を何としても聞きたかったからです。

 83歳の先生は日本漢方界の重鎮で診療の傍ら数多くの中医学の学術書(中国語)を読破・翻訳出版され日本に中国の漢方である中医学(旧来の日本漢方とは異なる)を根付かせた大恩人なのです。中国の老師(漢方の大家)と激論を楽しむとのことです。

 今日のテーマは「アトピー性皮膚炎と火証」についてでしたが先生のご講演はどんな研究発表でも「その研究の深さ」「うなる様な理論」「処方運用の妙」・・・感心させられることばかりです。二時間弱のご講演でしたが千金の価値の治療理論を解説していただき目からウロコでした。
「小児期は治りやすく成人型は難治」「難治であるが適切に対処すれば道は開ける」と結ばれました。

 アトピー性皮膚炎は「先天の不足」から始まると言われていますが季節や環境、食べ物、ストレスなどにも左右され症状の変化も激しく治療にてこずります。ステロイドの害もまた治療を妨げます。

 今日のご講演を糧に難治性アトピーに対し漢方の考えで挑戦していきたいと思います。 


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by home-k | 2006-10-20 18:06 | 漢方の話題
お血と微小循環障害  ⑦   ー未病先防ー
 日本人の平均寿命は年々延びつづけ最新の発表によれば男78.53才、女85.49才で前年の統計より僅かに下回ったもののまだまだ世界に誇れる長寿国といえます。

 ところがこの長い人生を楽しめず、不健康な暗い人生を過ごさざるを得ないケースも多くなっています。疾患別死亡者数からすればガンがトップですが血管の老化による心臓病や脳卒中など血管系の疾患をトータルすればガンをはるかに上回ることになります。

 近年、突然死で亡くなる方が増えていてこの30年間で3倍以上にも増加しているという事です。突然死とは健康に見える人が文字どおり突然死んでしまうことで心筋梗塞や狭心症など心臓をとり巻く動脈の血流が滞って起きる虚血性心疾患、脳の血管が切れたり詰まったりして起きる脳卒中などが主な原因です。

 突然死を免れたとしても一度発作を起こすとその傷跡は容易には消えないばかりか深刻な後遺症を起こすこともあり100%の完治は困難で再発の恐れもつきまといます。人間ドックでの検査で「異常なし」でも「異常あり」でも突然死の発生率は同じというデータもあるという事ですので安心できません。特に40歳以上は要注意です。

 中医学(漢方)には「未病先防」という考え方があります。それは病気が表に出る前(未病)の段階から積極的に予防的な治療をおこない発病を未然に防ぐ(先防)ことを言います。悪い生活習慣を改めるのは当然のことです。

 中医学でいう四診(望診・聞診・問診・切診)は五感で得られる情報や患者の訴えから総合的にからだ
の異常を判断して早期に予防的な治療をおこなう事ができ突然死などの予防に威力を発揮することができます。特に循環器系の異常を察知するのに優れ望診で舌の状態を観察して紫色のしみや舌の色が紫色を帯びていないか、舌裏の静脈が怒張していないかなどを観察することで微小循環障害を予測していきます。これは「お血」の範疇ですので三大症状の「痛む」「しこる」「黒ずむ」などがどうなのか問診することで更に弁証が進みます。又、微小血管の異常が必ず太い血管に及んでいくことに注意していかなければなりません。

 長い人生を楽しむために漢方の知恵である「未病先防」「お血の治療法」の考えを生かしたいものです。

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by home-k | 2006-10-18 18:28 | お血(おけつ)
金時山の花 Vol.8
 金時山は秋の気配がただよい草木の色が少し秋色になってきました。山頂から仙石原のススキが輝いてみえ、駿河湾の先に御前崎、左に転じて伊豆半島と大島がすぐ近くにそして房総半島、三浦半島、横浜のランドマーク、丹沢の山々、八ヶ岳、南アルプス連峰に北岳、眼前に初冠雪の富士山と360度の大展望のご馳走でした。(10月8日)

 金時山の秋の草花も花盛りです

 トリカブト:キンポウゲ科トリカブト属
薬用部分の漢方名は母根を「烏頭」(ウズ)その子根を「附子」(ブシ)といい生命にかかわる程の強力な毒性があります。一般に毒抜き加工(炮製という特殊技術)したものを使います。
冷えや痛みに繁用され「八味地黄丸・麻黄附子細辛湯・桂枝加苓朮附湯・・・」など多くの処方が組まれています。猛毒の薬草を人間の苦痛を取り除くためにどの様に応用していったのか先人の知恵に驚きを感じます。
  ミツバチが花蜜を吸いに来ていました。
 
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 イワシャジン:キキョウ科ツリガネニンジン属
薬用部分の漢方名は「南沙参」(ナンシャジン)といい粘痰の咳どめの効がありますがあまり使われません。中国ではセリ科のハマボウフウを「沙参」といい咳止めに使用(沙参麦門冬湯)。
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 サラシナシヨウマ:キンポウゲ科サラシナシヨウマ属
薬用部分の漢方名を「升麻」といい麻疹に升麻葛根湯、痔に乙字湯、気力を益し内臓下垂に補中益気湯などに配合されます。日本人は胃下垂や痔が多いですが升麻にミシマサイコの「柴胡」を組み合わせると昇提作用と言って下がった物を持ち上げる働きが出現するようになり脱肛や子宮脱などにも効果があり生薬の組み合わせの不思議さに驚かされます。
金時山にも春からいろいろな種類のシヨウマが咲きますがサラシナシヨウマはその中でも横綱級の花です。
 
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 先人達の英知に救われ、自然に生かされ、自然とともに生き、人々に健康の喜びを与えてくれる数々の薬草に感謝せずにはいられません。

 当店のHPです: 小田原の漢方薬 漢方ホーム薬局
by home-k | 2006-10-12 14:45 | 箱根・金時山の花
金時山の花 Vol.7
,06.10.08 Am 7.30 13度C 800m地点 快晴  北側から入山
富士山に待望の初冠雪を見ることができました。台風くずれの低気圧が発達して海山は大荒れでしたがここではいい置き土産を頂きました。2日前の雨が富士山では雪だったのです。
頂上付近に雲が引っかかっていてなかなか雪をスッキリ見ることができませんでしたが1時間待ってようやく撮ることができました。
 
 秋の山野草も咲きそろってきました。最近は有酸素運動を心がけて大汗をかいたり肩で息をする様なハードな歩きを改め少し汗ばむような歩きにしたところ、今まで気付かなかった草花がよく見つかる様になりました。年のせいもあるのかも?と外野のコメント。

  初冠雪の富士山
 
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  富士山5合目に沢山自生しているフジアザミですが金時山でも発見
 
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 当店のHPです: 小田原の漢方薬 漢方ホーム薬局
by home-k | 2006-10-08 23:15 | 箱根・金時山の花