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坐骨神経痛の西医と中医学漢方解説
 坐骨神経痛は腰椎No.4・5、仙骨のNo.1・2・3の間から出ている坐骨神経にそって走る神経の痛みです。この神経は人体で最長最大の末梢神経で腰下部から大腿部後面・足部にかけての広い範囲の知覚をつかさどっているために、この神経根を刺激されると片側の臀部・大腿部の後面・ふくらはぎ・外脛(そとすね)・かかと・くるぶしの方まで激しく痛み・しびれが響くようになります。

 原因としては、椎間板ヘルニア・変形性脊椎症・脊柱管狭窄症・梨状筋症候群・仙腸骨関節の異常・腫瘍等々があり、セラーグテスト・FNSTテスト・x線・MRI画像などにより診断されます。
このうちヘルニア型や狭窄症型およびその混合型が多いようです。

 対症療法として痛みや炎症を抑える鎮痛消炎剤・筋肉の緊張を和らげる筋弛緩剤・末梢の血流を改善する末梢血管拡張薬・神経組織の回復を促すビタミンB12などの薬物療法や痛みの発生源の神経に局所麻酔薬を注入し神経を麻痺させる神経ブロック療法、ヘルニアなどを切除する手術療法などが行われています。

 坐骨神経痛の様々な症状にも病状の分類情報がある 

 1.腰痛を伴う下肢痛
 2.安静にしていてもお尻や下肢が痛む
 3.椅子に座るとお尻の痛みが増す(ヘルニア?)
 4.立っていると下肢の痛みが増す
 5.歩いたり動くと下肢の痛みが増す(混合型?)
 6.痛い部分に冷感・熱感・だるいがある
 7.少し重いものを持つと痛みが増す(ヘルニア?)
 8.仰向けに寝られない(狭窄症?)
 9.背中をそらせると痛みが増す(狭窄症?)
10.前にかがむと痛む(ヘルニア?)。楽に(狭窄症?)
11.背中をそらせても前にかがんでも痛む(混合型?)
12.咳やクシャミをしても痛む(ヘルニア?)
13.横を向いて(への字形寝)背中を丸くして寝ると痛みが楽(狭窄症?)
14.脚力が弱くなり転倒しやすくなる(OPE対象?)
15.下肢の痛みのほかに排尿障害がある(OPE対象?) 等々

 痛み方にも痛みの質の情報がある

 1.クーラーや寒いと痛みが増す(寒邪) e0024094_15265639.jpg
 2.重だるい痛み(湿邪)
 3.張るような痛み(気滞)
 4.引きつるような痛み(血虚)
 5.しびれたような痛み(血虚)
 6.しくしくするような痛み(血虚)
 7.刺すような痛み(瘀血)
 8.夜になると痛みが増す(瘀血)
 9.いつも同じ場所が痛みしこる(瘀血)
10.ズキズキする痛み(瘀血・湿熱)
12.ひりひりする痛み(熱邪)
13.灼熱感のある痛み(血瘀化熱・湿熱)
14.痛みが動き回る(気滞) 等々

 中医学漢方の考え

漢方では坐骨神経痛を”痺症(ひしょう)”といい痺とは詰まって通じないという意味で”不通則痛”(通じなければ痛む)と表現しています。詰まって通じない原因は自然界の風・寒・湿・熱などの邪が素体が抵抗力が落ちている(虚)ときに人体に侵入し経絡に滞り、そのために”気(エネルー)”や”血(栄養物質)”が廻らなくなり組織を養えず痛みが生じると考えています。

 このように本病の発生には内因と外因があり、肝と腎の働きや気血のパワーが共にイマイチの正気の不足が内因であり、風寒湿熱の邪が外因であるとしています。
 それ故、漢方での根本療法は体内に侵入して停滞している寒・湿・熱邪などを追い出すことから始めこれらの外邪を再び侵入させないように正気である内因の虚を補強する扶正袪邪の治療法を応用し対処します。正気が蓄積されれば再発は無く、豊かな健康生活を保つことができます。

 しかし、正気の不足が激しいことに気づかず治療の機会を失し、或いは誤治により病が長期化し、気血の流れが長期に亘りスムースに行かないと ”血は滞って瘀血(おけつ)となり、湿は凝って痰湿となり瘀血と痰湿は互いに結びつき厄介な痰瘀(たんお)となり、又、外邪と結びつき経絡を塞ぐことになり深く関節の接合部に侵入し、まとわりつき離しがたくなります。” この状態になると高度なテクニックを要し治療に月日が必要になります。

 中医学漢方は中国3000余年に亘り人々の健康に大きく貢献する過程で病気の予防や治療について豊富な経験を蓄積した人類にとって貴重な安心安全な財産といえます。未病のため健康寿命を維持するためにも必ず役立つ医療であると確信しています。



次回、筆者の坐骨神経痛闘病記をUPしてみたいと思います。

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by home-k | 2014-10-22 15:03 | 痛みと漢方
痛みの原因と漢方理論
   ”通ぜざれば痛む”

 漢方の原典「黄帝内経素問」に痛みやコリは「痺症ひしょう」に属し、”痺”は「ふさがって通じない」という意味があります。何らかの原因で経絡(けいらく=栄養を運ぶ道)に気(き=全身を廻るエネルギー)や 血(けつ=血液とその働き、栄養物質)が流れなくなり塞がると、それが痛みを引き起こすというのが漢方の考えです。
 
 漢方ではこの状態を ”不通則痛”といって「通ぜざれば痛む」と表現しています。
中医学漢方では ”風ふう””寒かん””湿しつ”などの外邪(外因=環境因子)が経絡(つぼ)の流れを塞ぎ痛みを引き起こすと考えています。

 風・寒・湿につけ込まれるのは自分の体力の虚弱(正気不足=内因)にあり

 では、どうして気・血が滞るのか。その根本原因は主に体質が虚弱で気血などの正気(環境因子に対する人体の防衛能力)が不足しているためです。正気の不足に乗じて外邪(外因)である風・寒・湿などの邪が身体を襲い、皮膚、筋肉、関節などを侵します。その結果、疼痛、だるさ、こり、しびれ、腫れなどの症状が現れてくるのです。
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  痛みをもたらす邪(原因)によって症状は異なる 

 以上のような原因で「痺症」の痛みやこりが引き起こされるのですが、その症状は原因によってそれぞれ異なります。
● 風邪(ふうじゃ)が原因となる「風痺ふうひ」は痛みがあちこちに走ったり、しじゅう起きたりする疼痛としびれのことで発病初期に多い症状です。

● 寒邪(かんじゃ)が原因となる「寒痺かんぴ」は同じ場所が痛む、固定性の激しい痛みで冷えると痛みは強くなります。

● 湿邪(しつじゃ)が原因となる「湿痺しっぴ」は身体や四肢が重く、だるく痛み動かすのが苦痛

● 熱邪(ねつじゃ)が原因となる「熱痺ねっぴ」は痛みと共に赤く腫れたり、熱を持ったりし風、寒、湿の邪が長く続いたときや体質により炎症をおこすもので、急性・慢性関節リュウマチ、関節炎などに変化することもあります。

これらの邪は単独で現れることは少なく、寒と湿・湿と熱が結びついた複合症状になることが多く、症状の分別が必須であり、生薬の選定も複雑になります。発症場所も皮膚の間に滞るものや筋肉の間に滞るものがあり場所により治りやすいもの、治療に時間を要する場合があります。
 このほかの邪に病理的産物である血の滞りの瘀血(おけつ)、体内に貯留した異常な水液である痰湿、ストレスなどから発生する気滞などもあり病状は複雑になります。この病邪については後日に記したいと思います。

  中医学漢方による治療法 

 中医学漢方では痛みの根本原因は正気不足で機能失調或いは抵抗力の低下という「内因」にあり、外界変動による「外因」は単なる発病条件とみていて「外因は内因を通じて初めて発現する」と考えていますので、治療原則は内なる正気を扶助し外からの病邪の除去の両面を考慮した扶正袪邪(ふせいきょじゃ)を行います。扶正をすることで単に痛みを止めるだけの対症療法でなく痛みの発生源を手当てする根本療法であるということができ、再発を防止することができます。

3000年余の漢方医療の治験に裏づけられたこの素晴らしい理論を、QOLの改善に、また健康寿命を長らえるためにお役立ていただきたいものです。





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by home-k | 2014-10-05 12:28 | 痛みと漢方