2013年 05月 18日
冷え性の原因 漢方的見解 ー 病態編ー
冷え性の原因には大きく分けて二つのタイプがあります。
1.からだを温めるエネルギーの不足(陽気を生み出す力が無い)のタイプ(陽気不足) 2.からだを温めるエネルギーはあっても滞って廻らないタイプ(陽気阻滞) があります。 1.陽気不足(エネルギーの不足) 先天的虚弱・慢性病・老化などにより、からだを温める力が衰えるために虚寒が発生し冷える病態。 症状;腰から下肢が冷えることが多く、元気がなく・疲れやすい・寒がる・暖かい場所を好む・すぐにウトウトして横になりたがる・むくみやすい・下痢しやすい・消化力が弱い・かぜを引きやすい・食欲不振・つばやよだれが多い・舌質は淡白などがみられます。 治法;心・脾・腎を温める生薬で活力を増強し血行を促進して、温補心腎・温補脾腎をします。 2;陽気阻滞(エネルギーが廻らない) 1)寒冷・湿気などで寒湿の邪が外気から侵入したりエネルギーの不足によりからだに冷えとともに水分が停滞してむくみをともなう病態。むくみ体質の人が強い冷え(寒邪)を受けると皮下や筋肉の組織間隙にあふれた状態の水湿がエネルギーのめぐりを悪化させます(寒湿阻滞)。水分は下方に溜まりやすいので下半身の冷えを強く自覚します。 症状;強い冷え・寒がる・元気がなく疲れやすい・気力がない・体が重だるい・下肢のむくみ・小便不爽・舌質が淡白で大きいなどがみられます。 ![]() 治法;からだ(心・脾・腎)を温め活力を増し水分を尿として除く温陽利水・散寒利湿をします。 2)寒冷刺激(寒邪)で血管が収縮して血行が滞る病態。日頃、顔色に艶がなく血液の栄養状態が悪く血行に問題がある人に発症します。(血虚受寒) 症状;手足の先や下肢の内側・陰部が冷えたり・生理痛がひどかったり両側下腹部痛・生理の周期が遅れるなどが見られ爪がもろい・筋肉の引きつりなどもあります。 治法;からだを温め血行をよくする散寒通絡・補血調経をします。 3)精神的なストレスにより手足の末梢が冷える病態。精神的な緊張や不安・心配性など精神情緒が不安定で緊張が強くなると冷えが明らかになるのが特徴で気の流れが滞るとともに血行も悪くなった状態(肝鬱気滞)。 症状;憂鬱感・緊張感・いらいら・ヒステリックな反応・胸や腹が張って苦しい・ゲップが多い・手足の指先に強いひえを感じるなどがみられます。 治法;気分転換・気持ちを伸びやかにし、血管の緊張を解き気血の流れを改善する。(疏肝理気) 4)手術・外傷・出産などでの内出血、慢性病や老化などの陽気不足により血流が滞るために(瘀血おけつ)冷えが発生した病態。毛細血管など微小循環系や静脈系のうっ血が生じて血行が悪くなっている状態。 症状;冷えのぼせや顔色・口唇・歯茎がどす黒い、毛細血管の拡張、生理血に塊が混じる、舌裏静脈の怒張などが見られます。しもやけなどの発症もこの類です。 治法;うっ血を除いて血行を促進し活血化瘀(かっけつかお)を行います。瘀血に対する治療法は現代医学には無く、漢方理論にしかない優れた治療法です。 冷え性に繁用される漢方薬 回陽救逆湯,右帰丸、人参湯、扶陽理中湯、真武湯、実脾飲、牛車腎気丸、当帰四逆湯、当帰四逆加呉朱茰生姜湯、温経湯、桂枝人参湯、五積散、亀鹿二仙膠、当帰芍薬散、加味逍遥散、桂枝茯苓丸 、桃核承気湯、血府逐瘀丸、冠元顆粒、婦宝当帰膠・・・・・など 冷えを「水中に座っているようだ」というような表現をされる方がありますように、非常に辛い毎日を過ごされているにもかかわらず、西洋医学では冷えに対処する方法はあまり見当たらず放置されているのが現状です。 漢方医学では3000年も前から「冷え」が身体に悪影響を及ぼすさまを確実にとらえ、治療法を確立させています。冷え性の悩みは過去の自店での症例からしても、漢方薬に勝るものはないと確信しています。 漢方ホーム薬局のHPはこちら
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| 2013-05-18 21:27
| 冷え症
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