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坐骨神経痛 体験闘病記3の3  漢方治療編
この報告は筆者の坐骨神経痛の闘病記で漢方の治療方法の紹介も兼ねています。
  
病の発生の根本原因は内因にあり

中医学漢方では坐骨神経痛や風邪にしても病の発生について、機能失調或いは抵抗力の低下という人体側の面と、外来の発病因子(風・寒・暑・湿・熱など)という外界変動の面という2っの原因があると考えています。

 前者が内因で後者が外因であり、両方合わせたものが「病因」で、疾病が発生する根本原因は内因であり、外因は単なる条件であり「外因は内因があるからこそ初めて発現する」としています。 この他、様々な体質素因により常日頃体内に発生した気滞や瘀血・痰湿・浮腫などの病理的産物も病を複雑にする「発病因子の病邪」となります。

 また、発病後には人体の正気(抵抗力・免疫力)と病邪(発病因子)との力関係により病の軽・重が決まり正気の扶助と病邪除去の両面を考慮した扶正袪邪(ふせいきょじゃ)のバランスを考えた治療を行うと指示しています

 急性期の治則  急則治標 緩則治本

「急性期には、いま最も辛い症状を対象療法で治し、緩和されたら抵抗力を増すなどの根本療法を」の治療指針に従う。
 筆者の坐骨神経痛の病因は、内因として加齢による臓器の機能低下や過労などから気・血の不足をきたし抵抗力の低下状態の虚の体質になつたところに、外因として湿と熱の邪が結びついた湿熱の邪(実)が体に侵入し、さらに日頃から体内に発生していた病理的産物の気滞や瘀血・痰湿の病邪と結合し強力でしつこい病邪となり、病状を重くしたものと思われる。(初病入絡)

 急則治標  不通則痛

まずは、このような強力な湿熱・瘀血・痰湿の病邪を除くには、袪邪を主とし、抵抗力を養う扶正を従にした処方を必要とするので、気・血の流れをブロックして激痛を発している湿熱の邪に対し清熱利湿剤を、血の滞りに対し活血化瘀剤を、滞って熱化した痰湿(熱痰)に対し清熱化痰薬を配し袪邪を主にし,扶正薬の気血双補・補腎精薬を漢方エキス剤で対処してみた。

 上記の内容の処方でも激痛が軽くなることは無く10日余り経過しほんの少し緩らいたのを感じ病院に行く気力がでて整形外科を受診した。X線・MRIなどで腰椎椎間板4~5の間のヘルニアと診断され、対象療法とし坐骨神経痛 体験闘病記3の3  漢方治療編_e0024094_13493678.jpgて鎮痛剤のボルタレン・ノイロトロピン・リリカの処方を受け服薬した。 それでも何ら改善されず急性期は何をしてもダメなことを思い知らされ痛みに耐えるしかなかった。 その後漢方薬は煎じ薬に代え、好みでない鎮痛薬は時々頓服で服用とした。

 急性期 袪邪の効果

発症から20日、これまで風呂で温まると患足の痛みが増悪し湯に浸かれなかったが20日目頃から温まっても痛まなくなった。寧ろ気持ちがいい。清熱利湿薬で湿熱の邪の勢いが減退してきた徴候で、邪にブロックされていたところが気血が通い始めたことであり、自然治癒力も回復し始めたことでもある。

 中間期 温薬を配す

25日目。お尻の痛み(梨状筋痛)が急激に改善、特製クッション円座なしで椅子に座れ生活の質が大きく改善された。これは袪邪法により病理的産物の邪が除かれ始めたことで、亀板・鹿茸などの動物薬の加入で扶正の自然治癒力の正気が増したのではないかと煎じ薬の漢方の効果を実感できた。時は丁度梅雨の季節で、梅雨前線の上下で痛みは変化し、前線が下がると冷えが増し、特に外脛横の固定痛(A点)はズキン痛が再発。A点は経絡からすると少陽胆経(末梢神経では総腓骨神経)なので温めて経絡に入る袪風湿薬・袪痰熱の生薬を増量した。

 緩解期の治則  緩則治本  不栄則痛

3ヶ月目、痛みの質が刺痛から重痛に次第に軽くなってきたので袪邪薬を減量し、気血や腎精を補い正気を増す本治(根本治療)の生薬を増量する。生命エネルギーが増えたことで、ついに記念すべき日が来た。67日目、前かがみくの字姿勢から解放された。と同時にA点のズキン痛は軽減、少しの距離が直立で歩行可になり生活の質はさらに向上した。

 初めての遠路外出 気めぐれば血もめぐる

7月26日横浜中華街で親しい漢方仲間の恒例の納涼会があり不安ながら、電車と徒歩で参加。30数年来のお付き合いの仲間たちから再発予防の貴重なアドバイスをいただいた。この漢方研究会は文殊の知恵の会で私にとっては何よりの財産。楽しい談笑の中「気」もいただき帰り道は患足が軽くなった。これはまさに「気行則血行」を体感。

後記;思いもかけず、3ヶ月の闘病生活を経験し、当初痛みで歩けないのがショックで、「早く治さなければ」の気持ちばかりが強く、焦った。Drから「歩けなくなる人もあるよ」もショックだった。
日頃、漢方薬養生をしていたつもりがオーバーワークが重なり病邪を強力なものにし、袪邪に手こずった。でも急性期はジタバタしてもダメなことがよくわかった。漢方の手ごたえを感じるのに時間がかかったが根本治療のできるのは漢方しかない!!を信じて。しびれや知覚麻痺の後遺症もなくすっきり治癒。漢方に感謝。

8~9月はウオーキングやサイクリング・ストレッチ・社交ダンスで筋力を養い、9月23日ついに通いなれた箱根・金時山1212mに登れた感激は忘れることができない。






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by home-k | 2014-12-06 17:13 | 痛みと漢方