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健康寿命を延ばす漢方理論
  平均寿命 ー 健康寿命=要介護の年数(不健康な年数)

 日本人の平均寿命は世界でもトップクラスと長い間言われ続けていました。その内容を深く理解もせず日本は健康?で長寿の国なのかと思わされてきました。
 しかし近年「健康寿命」という表現が使われるようになり、その思い込みは間違っていました。単に生存していることと、介助なしで健康に生活をしていることとはイコールではないのです。健康寿命とは他人の手助けなしで自活できている年数のことです。
 平均寿命から健康寿命を引いたものが要介護の年数で不健康な年数でもあります。日本の女性を例にして計算してみますと、平均寿命87歳ー健康寿命74歳=要介護の年数13年となり不本意な余生を送ることになります。
  
  健康寿命が短い日本

 健康寿命が長く要介護の年数が短い国を統計からみてみますと一位がノルウエーで7.1年、二位がUSAで8年、日本は12位で男性は9年・女性は13年もの間、要介護の生活を送ることになります。要介護の年数を減らすには健康寿命を延ばすほかに手だてが見当たりません。健康寿命を延ばす漢方理論_e0024094_13263867.jpg

  健康寿命は正気の充実で延ばせる

 それは正しい食養生であり、正しい運動養生であり、正しい薬養生です。ここでは薬養生についてです。
漢方の古典(素門)に「正気内に存すれば邪干すべからず」とあり正気(抗病力・自然治癒力)が充足されていれば病に犯されないとし、また、「疾病の発生する根本原因は内因にある」としていて確かな正気がないから内因が発生し、病邪を受け入れやすくしてしまうのだと説いています。
 漢方でいう「正気とは気・血・津液・精の人体を構成する基本的な物質が充足されている」ことでこれらによって生命活動および臓腑、経絡、組織、器官の生理機能が維持されています。
 抗病力・自然治癒力・免疫力の源泉とも言えます。

  未病対策の原点が健康寿命を延ばす

 健康な人生は正気の充実ですが、不足は様々な疾患の内因となり、気の不足は気虚といい機能の低下を引き起こし、血の不足は血虚といい栄養不足を引き起こし、津液の不足は陰虚といい潤い不足となります。また、これらの過剰も様々な疾患を誘発し非常に厄介な内因(病理的産物)となります。気の過剰は気滞といい自律神経系の不調和となり、血の異常は瘀血(おけつ)となり血の汚れなどで微小循環障害や脳卒中などを引き起こし、津液の過剰は痰湿となりコレステロールや体脂肪の異常を生じます。それ故、日頃から過不足から生じる体調の異常に気づき早めに対処することが大切といえます。未病への備えはここにあります。

  生命体の基本物質は腎精

  人体を構成する基本物質の気・血・津液・精はどれも大切なものですが、なかでも精は生命体の根本をなす物質で全身の陰液の源泉であると同時に精から生まれる「気」が全身の陽気の根源となって成長・発育・老化・生殖などと直接かかわっています。腎に貯蔵されるので腎精と呼ばれています。

 精は父母から受けた「先天の精」と、生後に消化器系(脾胃)が産生した飲食物の精微物質の「後天の精」が腎において合わさり貯蔵されます。後天の精が絶えず補充される(食養生の大切さはここにあります)ことにより精は次第に充実していきますが先天の精のもつ寿命との関係で壮年以降次第に衰え減少していきます。この働きが衰えることを腎虚といい腎虚が進むと人のもつ生命力や自然治癒力が低下し、物忘れ・無気力・耳鳴り・難聴・骨や歯がもろくなる・足腰のだるさと痛み・頻尿・尿漏れ・注意力散漫・衰弱などの老化現象が出てきます。そして健康寿命に大きな影響を与えることになります。

 ここでいう腎とは単に腎臓のことではなく、脳下垂体・副腎・性腺・甲状腺などのホルモン系や泌尿生殖器、免疫に対する働きなどが含まれています。つまり体を健康に保つためのコントローラーの役目をしています。

  要介護の五大疾患も漢方で対応

 正気(守備隊)の補充が充足されず放置すると健康寿命を損ない要介護や寝たきりになります。その五大疾患は 1.脳卒中 23,3%  2.認知症 14,0%  3.衰弱 13,6%  4.関節疾患 12,2%  5、骨折 9,3%などがあります。これらの疾患はいずれも生活習慣病の延長線上にあり漢方でいう内因に起因する疾患であり,腎精の不足はもとより不健康な生活習慣、不摂生などから体内に発生した病理的産物などが原因になることが多くみられます。これらの対処法は3000余年に及ぶ漢方の経験医学の中に詳解されていますので、この応用こそ健康寿命を延ばす最善の策と思います。

 「 自分の意志で活動できること」 「家族や友人と心通わせること」  そのような人間らしい活動的な日常生活があってこその ” いのち ” なのではないでしょうか。
 要介護を避け健康寿命を延ばすために漢方理論をお役立てください。


  
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by home-k | 2015-01-30 15:28 | 健康寿命