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漢方薬の剤型  ー形により効果も使用法も違うー
 漢方薬は一般に○○湯、○○散、○○丸などそれぞれ固有の名称が
つけられていて、何気なく葛根湯や当帰芍薬散、八味丸などと表現して
いますが葛根丸や当帰芍薬湯、八味散などとは表現しません。
 そこは漢方薬の発祥の地、漢字の国 中国のことですからなぜ「湯」
なのか、なぜ「散」なのか、なぜ「丸」なのかがあるのです。

 湯は「蕩」に通じ、散は「散る」に通じ、丸は「緩」に通じると言わ
れています。

  ○ 湯剤(煎じ薬)

 生薬を混合して煎煮したもので漢方と言えばこの剤型が一般的。
湯は「蕩」で「洗い流す」「払い除く」の意があり、吸収が速く効果も
迅速に現れるので、かぜなど急性病や一般的な疾患に多く用いられます。
 葛根湯 小柴胡湯 補中益気湯 乙字湯 六君子湯 人参湯など

  ○ 散剤
 
 乾燥した生薬を粉末にして混合したものでそのまま服用したり水煎し
て(煮散)服んだりします。
散は「散ずる」「発散する」の意があり吸収が速く少量で効果があるの
で急性病に用いられます。
 五苓散 防風通聖散 当帰芍薬散 逍遥散 参苓白朮散 平胃散など

  ○ 丸剤
 
 生薬を粉末にし蜂蜜や酒、糊、薬汁などを賦形剤にして丸型の固体に
したもの。 丸は「緩」の意があり吸収が緩慢で持続性があるので一般
に慢性の疾患や虚弱体質の人に用いられます。また湯剤(煎じ薬)で
ある程度の効果が得られた後に同じ処方内容を丸剤にして治療を緩徐に
しながら治療の仕上げをするときもあります。(腫瘍など)
 杞菊地黄丸(蝋丸) 参茸丸 参茸補血丸 牛黄清心丸など
  上記の本物の丸剤(写真)は当店で取り扱っています。
漢方薬の剤型  ー形により効果も使用法も違うー_e0024094_2023715.jpg

この他にも使用目的に合わせていろいろな剤型がありますがまたの機会
にしたいと思います。
 主要三種の剤型の吸収率は湯剤、散剤、丸剤の順になりますが湯剤は
作用が急なので散剤に変えることでその働きを緩めたりすることもあり
ます。
 
 日本の製剤技術の進歩は素晴らしく、新たに エキス剤をつくりだし
繁用されています。しかし、湯・散・丸の文字に込められた意味を思う
とこのエキス剤は現代のライフスタイルに都合が良いとはいえ文字の意
味は蒸発してしまっています。こうした中で当薬局ではなるべく基本に
忠実に先人の残してくれた漢方の財産を大切に守りお客様のお役にたっ
ていきたいと思います。

漢方ホーム薬局のHPはこちら
by home-k | 2006-04-21 20:25 | 漢方の話題