苦味を抑えた緑茶やウーロン茶が売れて売れて、ヒット商品だそうです。中にはメタボにいいとか健康増進効果があるという特定保健食品(トクホ)にも指定されているものもあります。飲み口がいい”味のまろやかさ”を強調しているものもあり、売り上げ至上主義の企業努力?により”自然の味”が失われつつあります。食養が注目を浴びている今、何か間違った方向に進んでいる気がしてなりません。
さらに、夏の味覚としてほろ苦さが旨いビールや苦瓜(ゴーヤ)までも苦味を抑えた物が開発されているのですから、あきれてしまいます。苦瓜も苦笑しているかも?。
ゴーヤは苦い、砂糖は甘いというように食べ物には固有の味があります。漢方を学んでいる者にとって、食べ物や生薬(漢方薬の原料)の味は学問上、非常に大切でこれなくして漢方薬の運用も漢方の食養生もお話できません。
食べ物や生薬には必ず”味”があります(薬食同源)。からいとか、しょっぱい・すっぱいなどもあり、それぞれの味によって食べ物や生薬の性質が違ってきます。これを食味といい「苦い(苦=く)」・「甘い(甘=かん)」・「辛い(辛=しん)」・「塩からい(鹹=かん)」・「酸っぱい(酸=さん)」
の五種類の味があります。この五味はそれぞれ親和性の強い臓腑につながり苦は心・小腸、甘は脾・胃、辛は肺・大腸、鹹は腎・膀胱、酸は肝・胆に入りその臓腑を養うと説いています(漢方のバイブル・黄帝内経)。それ故、苦味の不足は心・小腸の働きに影響が出ることになります。
苦味の効用
専門書では苦味は泄(降・瀉),燥、堅に働くとされていますが、一般的には利尿・消炎・解毒・鎮静・解熱作用があり心臓,血管など循環器の働きをよくし、高ぶった精神状態を鎮めます。その上、血液浄化の作用もあります。
高血圧、赤ら顔、怒りっぽい、イライラ、不眠、多夢などを改善し、暑気あたりの予防にもなりますので心当たりのある方は苦い物は必ず必要なのです。
苦い食べもの
苦瓜、ごぼう、たけのこ、ほうれんそう、緑茶、みょうが、たらのめ、アロエ =冷やす性質
ラッキョウ、よもぎ、ふき =温性
ぎんなん、びわ、春菊、うど =平性(冷やしも温めもしない)
嫌われ者の苦味ですが、こんなに重要な働きがあるのです。夏は心負担の多い季節ですので心を養うホップのきいたビールと苦瓜料理ならクールダウン間違いなしです。まさに夏の薬膳料理です。
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