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婦人科疾患   ー月経血量の異常ー
 月経血量の過・不足

 中医学(中国漢方)では生理周期の異常だけでなく、経血量が多すぎる・少なすぎることも月経異常の一つとして問題視しています。

Ⅰ) 経血量が多すぎる(月経過多) 

 「多い」という目安は、月経期間中の一番多い日に二時間もすればナプキンがポタポタになる状態です。その主な原因に二つのタイプがあります。

  ①血熱体質
   精神的ストレス・悩み・怒りなど、或いはピリ辛・酒・カロリー過多食などで発生した余分な熱が血に及び血熱となった状態(迫血妄行)で、経血は深紅・粘稠で小血塊が混じることが多い。イライラ・怒りっぽい・顔が赤い・眼の充血などの症状をともなう。
 治法: 血の熱を冷ます清熱涼血薬を用います。

  ②気虚体質(エネルギー不足)
   生まれつき体が弱い・過労・思慮過度などにより消化機能が低下し「気」の産生ができず、血流のコントロールに必要な気の不足による異常の状態(気の固摂機能失調)で、経血は淡紅・希薄で、元気がない・疲れやすい・息切れ・食が細いなどの症状をともなう。
 治法: 胃腸機能を高めて気の統摂能力を回復させる益気摂血薬を用います。

Ⅱ) 経血量が少なすぎる(月経過少)

 「少ない」という目安は、月経期間中の一番多い日でもナプキンが一枚でもつような状態です。主な原因に三つのタイプがあります。

  ①血虚体質(血の不足)
   慢性病や出血などによる血の消耗、内臓機能低下による血の産生不足などにより経血が不足した状態で、経血はごく少なく淡紅・希薄で月経後に下腹部痛となったり、皮膚につやがない・爪がもろい・髪の傷み・頭のふらつき・目の疲れ・手足の痺れなどの症状がみられる。
 治法: 内臓機能を高めて生血を促進する益気養血薬を用います。

  ②寒凝体質(冷え性)
   冷たい物の摂り過ぎ・薄着で体を冷やしすぎたりで、冷え(寒邪=凍結の性質がある)が体に入り込み血を凝滞させて流れが悪化した状態で経血は暗紅で血塊があり、強い生理痛・下腹部の冷え・顔色が青いなどの症状がみられます。
 治法: 体を温め血をめぐらせ寒邪を取り除く温経散寒薬を用います。

  ③血瘀(けつお=血の滞り)
   ストレスや冷え、エネルギー不足、生血不足など多くの原因で血流が悪化して血が滞り経血が不足する状態で経血は暗紫紅色で血塊が混じり、刺すような生理痛があります。
 治法: 血の滞りを改善する活血化瘀薬を原因を考慮しつつ併用します。

 月経は人体の内面の状態が外に現れた症候ですので、月経の色調・周期・量などを詳しく観察して総合的に分析する必要があります。これらの不調は不妊の原因やつらい更年期障害に発展しますので、早い時期に改善しなければなりません。ホルモン療法とは異なり漢方薬は4000年の歴史に育てられた医療ですので副作用もなく安全にからだの調和を計ることができます。

 漢方的体質の見分け方は当ブログを参考にして理解を深めてください。



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by home-k | 2009-03-25 17:53 | 生理不順