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カテゴリ:痛みと漢方( 24 )
酷暑に多い疾患・治験報告 歯痛

酷暑が体を蝕む!!漢方治験例 そのⅠ  歯痛   

 歯の痛み  76歳女性
 
  酷暑が続くこの夏、上顎大臼歯(左側)が浮いたように腫れ痛む。食べ物が噛めないので流動食のように食事は流し込む。市販の鎮痛剤を2日服用したが効かないと来店。
歯の痛みが放散するのか頭痛や顔面が熱いという症状がある。
舌診;舌色は紅、表面に黄色の苔が多い、舌の形は大きい、歯の痕が舌辺に多い、舌裏静脈は黒く太いなどがあり湿熱の病症と判断。

 常日頃水分代謝の悪い体質は水の停滞を招き(内湿)、その水湿に過剰な暑さが消化器系から入り込み加熱され湿熱の邪となり経絡に侵入し(陽明経の湿熱)発症した病症と判断した。e0024094_17441671.jpg



 湿熱の病症でも湿と熱のバランスの判断が大切でこの症例では熱に偏っていると判断し、清胃散と甘露飲をベースに血流を改善する(瘀血)生薬を配合した(5日分)。

 後日談;一回の服用で痛みは半減し、三日目には歯の浮いた感はあるものの噛むことができ、2週間後には好物のピーナッツも食べられるようになった。一時は抜歯かな?と思ったが漢方で改善できてよかったと感謝された。詳細な弁証論治が大切なことを思い知らされた。





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by home-k | 2018-08-21 17:28 | 痛みと漢方
足腰の痛み 漢方で歩ける喜びを
坐骨神経痛・すべり症治験例  60歳 女性  bmi 21e0024094_17093045.jpg


この冬(2018.1)腰から下肢にかけての痛みで歩けなくなった。整形外科を受診。X線・MRI検査で腰椎L3・4変形・すべり症による痛みとの診断をされた。処方薬の痛み止め2種・胃薬・ビタミンB12を二週間服用してみたが食欲の低下、倦怠感など体調がよくない、痛みも改善されない。・・・と杖を突きながら来店された。普段お元気なのでびっくりした。

漢方での問診;痛みは左腰部ベルトライン・左下肢痛は臀部の大臀筋・膝上の大腿四頭筋の辺りで重だるく痛みしびれを伴い、力が入らず、冷えると痛みが増す。朝5時ころが最大の痛みで歩き出すとき痛みが走る。手足が冷える・眠りが浅い・就寝が遅い(2時)・二便正常。既往症・春の花粉症鼻炎。
舌診;形は並・苔白・色淡紅<紅(血の不足)。舌裏静脈 黒く怒張(血の汚れ滞り=瘀血)。などから気血などエネルギーや栄養素の不足や血の滞りによる痛みが生じたと推察、漢方でいう「不栄則痛」(栄養物質の不足で組織を養えない)の痛みと判定。漢方の古典に「遍身走痛し 日軽く夜重きは これ血虚なり」とあります。

漢方処方は血を補う四物湯を含む疎経活血湯を主薬として紅花・木通・黄柏・はと麦・人参・白朮を加味しエキス剤ではパワー不足故煎じ薬とし血を補う四物湯などを増量し補血活血瘀血を重点的に改善することとした。二か月弱で杖は不要になった。

5月現在も継続していただいていますがすべり症・腰椎の変形などがあるので補腎薬の配合のタイミングを待っているところです。再発の予防にもなり漢方ならではの根本治療になります。  ・・・・次回に補足あります。

人生で初めて歩ける喜びを感じたとのこと。



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by home-k | 2018-05-19 17:19 | 痛みと漢方
肩の痛み(五十肩?)に漢方薬
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当店での治験例  上腕部から肩の痛み(左) 五十肩?
 50歳 男  BMI 23 比較的健康体
H29年12月 1ヶ月前位から自然発症的に左腕の付け根辺りから肩にかけて痛むようになった。刺すような痛みで夜間朝方の痛みが酷く重だるい。挙手は可能。
 鼻づまり、空咳少々、血糖値高め、便秘(硬便)。 
 舌診;胖大(形が大きい)、苔無、淡紅 舌裏静脈++
 圧痛点;左腕の付け根辺り前側 肺経絡上の中府・雲門の辺りに刺すような痛みあり、辛い。


漢方治療;この病症は痛みの漢方治療指針からすると「不通則痛」(当ブログ2018.4.6に解説)で気血が肺の経絡上でブロックされて通じないので痛みを発している病状と判定。既往歴から秋冬期の乾燥(燥邪)が災いの元と推測し肺を潤し熱を涼す辛夷清肺湯、左側の病症ゆえ瘀血(おけつ:血の滞り)もあるので血府逐瘀湯(けっぷちくおとう)を投薬してみた。
7日ほどの服薬で完治することができた。さらに良い副作用?が出て便秘も改善されたのには驚きで前々回の当ブログ(2018.3.17)の「肺は大腸に合す」の実例にもなります。
漢方の応用力の広さ、懐の深さに驚かされます。

 

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by home-k | 2018-04-07 17:52 | 痛みと漢方
痛みには漢方が効く
 イタイ! 痛い!!の起こるしくみ(神経痛 リュウマチ 腰痛 頭痛 膝の痛み)

 漢方の理論では「不通則痛」と「不栄則痛」と二つの原因を考えています。

「不通則痛」とは”通じなければ痛む”という意味で、体の営みに何らかの原因で閉塞が生じ、そのために漢方でいう気や血・水の巡りが失われることにより、組織に気血が届かず組織を養えず部分的に虚になった状態の中に、冷え・湿気・暑さやストレス・瘀血(血行不良)などの病邪が筋肉や関節・神経などに入り込み炎症や腫れ・むくみや水腫を引き起こし痛みとなると考えています。若い人に多い病状です。症状や体質に合わせ病邪を取り除く漢方薬が多数あります。e0024094_11324032.jpg

「不栄則痛」とは”栄養が足りないために痛む”という意味で体にとって本来必要な気や血・水の不足、消耗などにより起きている痛みです。高齢者に多い病状でエネルギー(気)や栄養物質(血)を補える漢方ならではの治療があり予後が大変安定し社会復帰が可能になります。

したがって、痛みが出ない人は、気や血の貯金(貯筋)が十分で常に気血が全身にスムースに運ばれているので、冷えや湿気・暑さやストレスなどの病邪を寄せ付けない体力のある人ということになります。

特に足腰の痛みは生活に多大なダメージを受けます。”歩ける喜び”をぜひ当店の漢方療法に期待してみてください。

*当ブログ「痛みの原因と漢方理論」2014.10.05もぜひご覧ください。



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by home-k | 2018-04-06 12:21 | 痛みと漢方
過ぎたるは及ばざるが如し
 足底部痛  体験記

またまた足の痛みの報告です。

 症状; 今度は足底部(左)第三指の付け根、湧泉というツボのあたり、患部は熱感があり、腫れているようでズキズキ痛みしびれ感もあり、歩くと痛みで足をつくことができない。仕方がなくかかとで歩く。歩くたびに足底部に湿布を貼ったような違和感がある。また一昨年の坐骨神経痛のときの不安が脳裏をよぎる。

 原因; 社交ダンスのレッスンがオーバーワークだったことが引き金になったと思われる。たまたまslou fox trot(スローフォックストロット)とquick step(クイックステップ)のレッスンが週2回重なり、この種目は  Toe(トウ ・つま先)とHeer(ヒール・踵)をしっかり使い分け体重移動しないとリズムが取れないので足底筋を酷使し、ライトメタボと老化現象で筋・腱が硬くなりつつある者にとって疲れる種目。レッスン中も違和感があったが何とか無事終了し、就寝後夜半に痛みで目が覚める。e0024094_179328.jpg

 治療; 季節がら冷えと過労、加齢による筋肉と腱の機能低下からと思い、桂枝加芍薬知母湯をベースに腎経のツボ湧泉付近の痛み故・補腎薬を、また血行を改善する活血薬を加え煎じ薬を服用した。著効があり三日で歩くことができ次週のレッスンに参加することができた。

 反省; 過ぎたるは及ばざるが如し とはわが身のことで、良いこととはいえ運動しすぎも害になるということを思い知らされた。すべて中庸が大切!!。こうして時々お灸をすえられながらも動いて健康を維持していきたいものです。
 またもや漢方薬の効き目を体感でき、これもけがの功名なのかも。先人が残してくれた中医学漢方に感謝。









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by home-k | 2016-02-02 17:19 | 痛みと漢方
手指の刺痛  「治験報告」
 主訴;左手指が針が刺さるように痛む

 Y子さん  70歳  BMI :22

 症状 一週間前ぐらいから左手指の第三指と第五指が重く痛み始めた。痛みは日に日に増し、昨日から時に針で刺されるような痛みに変化してきた。夜間痛強い。患部の浮腫はないが、指を曲げると痛む。動悸、脈の結滞(代)なし。心泊数 75/分、平時より早い。心臓部位が少し痛む。舌;紅・苔なし・裂紋あり。

 不安感があるものの元気で、その他、不健康な自覚症状なし。

 治法 中国医学(漢方)では針灸などでいう ”ツボ”などの経絡学説という弁証法があり、その学説によると第三指は厥陰心包経・第五指は少陰心経の経絡の支配下にあり、その部位に集中している症状は漢方の臓腑弁証でいう ”心の病症”をうかがい知れる。このような臓腑の異常が関連する経絡に現れることを経絡現象といい、日常の病の弁証に、より裏付けを深めるために繁用されている。

 このような観点から、 ”心”に働く生薬、桂枝・人参・麦門冬・地黄・・・・・・などで益気通陽・滋陰補血し、丹参・三七人参などを加え活血通絡をしてみた。e0024094_15515175.jpg

 上記の剤で著効あり。一剤で刺痛はほぼ軽減され3日の服用ですべての症状は消失した。

部位が部位だけに病院での検査をお願いし、後日「異常なし」の報告をいただいた。

 経絡学説

中国医学で人体の生理、病理現象を解釈するのに用い、経絡は全身の気・血・津液が運行し、臓腑四肢の関節を連携し身体各部の組織器官の通絡を調節して、人体のあらゆるところに分布して各部の間を密接に連絡し生体活動を維持し続けている。






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by home-k | 2015-09-25 16:04 | 痛みと漢方
夏期の膀胱炎 毎年・夏期に再発を繰り返す
 今日は二十四節気の”大暑”の日、暦では暑さが絶頂に達するとしています。梅雨も明けた今日この頃は蒸し暑く、暑さは”熱”となり熱中症など暑さ負けの病が多くみられます。

 この時期、大気の熱は身体の水分(湿)と反応して「湿熱の病邪」となり膀胱炎をなどを多く発症します。

夏の膀胱炎の症状 排尿時の不快感は、人それぞれですが刺すような痛み、灼熱性の痛み、しみるような痛み、絞るような痛み、下腹部張痛など痛みが主症状です。その他、残尿感、頻尿、血尿、尿が濃いなども多く尿がコメのとぎ汁のように混濁することもあります。一般的に夏は、湿と熱のバランスの問題で湿より熱のほうが勝ることが多いので痛みを伴うことが多いのです。

原因 ; 前回の痔のところで述べましたように、脂っこいもののや甘味の過食、飲酒癖などカロリー過多の方は湿熱を生じやすく、そのべースに夏の陽気の湿熱の邪が相乗され発症します。さらにイライラや怒りっぽい、思慮過度などのストレスは火に油を注ぐことになり症状は強くなります。漢方では湿熱の邪が膀胱の気化力(正常な営み・働き)を失調させたとしています。

治法 ; 湿熱を裁く清熱利湿薬、清熱写火薬などを用い膀胱の気化力を回復させます。e0024094_11181967.jpg

治験例 ; 膀胱炎 7月10日ご来店 65歳の女性 BMI 22  7月8日から排尿痛、残尿感、頻尿、下腹部張痛、不眠で近くの医院を受診、尿検無菌で「猪苓湯」が処方された。5回服用もつらい症状は改善されず。今夜も、辛い症状と不眠が続くのは怖いと来店された。痛みの訴えが強く舌の状態(舌色 紅・舌苔 黄・舌形 大)小便色濃黄・量少から湿<熱の状態にあると判定。体に滞った過剰な熱を主に、湿をさばく竜胆草・黄芩・山梔子・車前子、気血をめぐらす香附子・赤芍薬などで煎じ薬を造り、猪苓湯と併用を薦めた。2回服用の翌朝、諸症状が軽減された旨のTelをいただいた。
  この方にはドクダミ茶の飲用をおすすめした。ドクダミは魚腥草・十薬・重薬ともいい膀胱の湿熱をとる働きがあります。







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by home-k | 2015-07-23 17:55 | 痛みと漢方
痔の痛みと腫れ  梅雨時
 七夕も過ぎ蒸し暑い日が続いています。この季節、肛門疾患・痔の痛みと腫れを訴える方が多くなります。

 ”腫れて痛む”のが梅雨時の痔の特徴 飽食に注意!!

外気はジメジメ湿気と暑さ(熱)に満ちていて漢方用語でいう”湿熱”の状態になつています。e0024094_18205966.jpg
また飽食の時代、普段から甘・辛味などの食べ過ぎ(熱)、酒類の飲みすぎ(湿と熱)、脂っこいものやカロリー食(熱)などの栄養過剰などのより、からだは湿・熱体質になります。

その痛み・湿熱瘀血が原因

 このようにしてできてしまった体の湿熱体質が外気の湿熱に相乗され、体に有害な湿熱の邪となり、まとわりつきます。湿気は下部に留まりやすい為に大腸や肛門の周辺に湿熱の邪が留まり、そのために体調を維持しているエネルギーである気・血の流れが悪くなり痔核を形成し、血の滞りは瘀血(おけつ)となり、しこり・痛みを発症します(不通則痛)。また、湿邪は腫れの原因となり熱邪は痛みの原因になります。さらにストレスが加重されると症状はさらに激しくなります。

治法 清熱利湿 去瘀破血 清腸(通便)

からだに滞った湿や熱を取り除き、血流を改善して肛門部の静脈の欝血を取り除き、便通を整えます。
黄芩、大黄、防風、槐角、枳穀、地楡、牡丹皮、桃仁、田七人参、紫雲膏・・・・などが多用されます。

痔は病だれの中に寺を書きますが、慢性化しやすく再発を繰り返しますので、ステロイド剤の入った軟膏や座薬などで一時的な対症療法で済まさず、漢方での根治療法をお勧めしたいものです。

自然の摂理を理論的に解明した伝統的な経験医学(中医学=日本では漢方という)に魅せられます。

  ”自然の中に薬があり、歴史の中に知恵がある”  (八ッ目製薬)

下記の当ブログにも痔についての記述があります。ぜひご覧ください。
  2006.10.31 瘀血と微小循環 ⑧外痔内痔
  2007.04.18 瘀血と微小循環 ⑬いぼ痔と漢方





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by home-k | 2015-07-11 18:26 | 痛みと漢方
坐骨神経痛 闘病体験記一年経過報告
人生最大のピンチ3ヶ月の闘病

 昨年の今頃はヘルニア性坐骨神経痛発症16日目で、左下肢のあまりにも激しい痛みに前途不安な毎日を送っていた。病院の鎮痛剤も、鍼灸も、漢方薬もこの激痛には効なし。さらに、医師の”歩けなくなる人もあるョ”の一言に生きる希望も失せる日々だった。

”激痛で不眠が続く、昨夜のズキズキズキ痛みは何だ!横脛の骨をキリで刺されているようだ!痛みはmax!Am1~5時全く不眠。明け方疲れてウトウトしても刺痛で目覚めてしまう。夜に痛みが増すので夜が恐い。つかまり立ちでそろそろと歩く。(2015.05.16日闘病メモ)e0024094_16394874.jpg

主犯は腎精不足だった!!

 この痛みから解放されるのには根本療法のできる漢方しかない!の信念のもとに煎じ薬を服み続けた。
しかし期待にしたほどの効果がない。治療方針は補うのが先か邪魔者を瀉すのが後かの選択が大事なことだが、余りにも邪が強かったので瀉してしまった。
 高齢者は一般に腎精不足が常で、様々な厄介な病を引き起こしやすい。筆者も自分の老化を認めず、年甲斐もなく動きすぎていたのでいつの間にか腎精を枯渇させてしまっていたのか。
 生命エネルギーの基、腎精の不足は気・血・陰・陽すべてが不足するので代謝が落ち、生命体を維持する物質の流れが滞り、邪魔者の痰湿や瘀血を生む原因となる。漢方の痛みの原因は「不栄則痛」「不通則痛」なので栄養物質がめぐりさえすれば痛まないことになるので、腎精を補うことがメインだったのかもしれない。
 高齢者の治療は「不栄則痛」が優先しなければならないと胆に命じた。e0024094_1726638.jpg

この一年、亀板・鹿茸・海馬などで腎精を補うことを主に、麝香・牛黄などの開窮薬、濁った水湿(痰湿)や汚れた血液が滞(瘀血)らないように扶正去邪の治療を徹底しておこなった。

天人相応、季節の変化にも体がついていけたし、再発の兆しもないのでひとまず安心。先人に培われた経験医学の漢方に感謝!!。 時々こうしたお灸をすえられながら、家族に年甲斐もなく!などと言われながらactiveに歳を重ねたいものです。


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my off time
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    南紀・新宮市
by home-k | 2015-05-16 17:58 | 痛みと漢方
坐骨神経痛 体験闘病記3の3  漢方治療編
この報告は筆者の坐骨神経痛の闘病記で漢方の治療方法の紹介も兼ねています。
  
病の発生の根本原因は内因にあり

中医学漢方では坐骨神経痛や風邪にしても病の発生について、機能失調或いは抵抗力の低下という人体側の面と、外来の発病因子(風・寒・暑・湿・熱など)という外界変動の面という2っの原因があると考えています。

 前者が内因で後者が外因であり、両方合わせたものが「病因」で、疾病が発生する根本原因は内因であり、外因は単なる条件であり「外因は内因があるからこそ初めて発現する」としています。 この他、様々な体質素因により常日頃体内に発生した気滞や瘀血・痰湿・浮腫などの病理的産物も病を複雑にする「発病因子の病邪」となります。

 また、発病後には人体の正気(抵抗力・免疫力)と病邪(発病因子)との力関係により病の軽・重が決まり正気の扶助と病邪除去の両面を考慮した扶正袪邪(ふせいきょじゃ)のバランスを考えた治療を行うと指示しています

 急性期の治則  急則治標 緩則治本

「急性期には、いま最も辛い症状を対象療法で治し、緩和されたら抵抗力を増すなどの根本療法を」の治療指針に従う。
 筆者の坐骨神経痛の病因は、内因として加齢による臓器の機能低下や過労などから気・血の不足をきたし抵抗力の低下状態の虚の体質になつたところに、外因として湿と熱の邪が結びついた湿熱の邪(実)が体に侵入し、さらに日頃から体内に発生していた病理的産物の気滞や瘀血・痰湿の病邪と結合し強力でしつこい病邪となり、病状を重くしたものと思われる。(初病入絡)

 急則治標  不通則痛

まずは、このような強力な湿熱・瘀血・痰湿の病邪を除くには、袪邪を主とし、抵抗力を養う扶正を従にした処方を必要とするので、気・血の流れをブロックして激痛を発している湿熱の邪に対し清熱利湿剤を、血の滞りに対し活血化瘀剤を、滞って熱化した痰湿(熱痰)に対し清熱化痰薬を配し袪邪を主にし,扶正薬の気血双補・補腎精薬を漢方エキス剤で対処してみた。

 上記の内容の処方でも激痛が軽くなることは無く10日余り経過しほんの少し緩らいたのを感じ病院に行く気力がでて整形外科を受診した。X線・MRIなどで腰椎椎間板4~5の間のヘルニアと診断され、対象療法としe0024094_13493678.jpgて鎮痛剤のボルタレン・ノイロトロピン・リリカの処方を受け服薬した。 それでも何ら改善されず急性期は何をしてもダメなことを思い知らされ痛みに耐えるしかなかった。 その後漢方薬は煎じ薬に代え、好みでない鎮痛薬は時々頓服で服用とした。

 急性期 袪邪の効果

発症から20日、これまで風呂で温まると患足の痛みが増悪し湯に浸かれなかったが20日目頃から温まっても痛まなくなった。寧ろ気持ちがいい。清熱利湿薬で湿熱の邪の勢いが減退してきた徴候で、邪にブロックされていたところが気血が通い始めたことであり、自然治癒力も回復し始めたことでもある。

 中間期 温薬を配す

25日目。お尻の痛み(梨状筋痛)が急激に改善、特製クッション円座なしで椅子に座れ生活の質が大きく改善された。これは袪邪法により病理的産物の邪が除かれ始めたことで、亀板・鹿茸などの動物薬の加入で扶正の自然治癒力の正気が増したのではないかと煎じ薬の漢方の効果を実感できた。時は丁度梅雨の季節で、梅雨前線の上下で痛みは変化し、前線が下がると冷えが増し、特に外脛横の固定痛(A点)はズキン痛が再発。A点は経絡からすると少陽胆経(末梢神経では総腓骨神経)なので温めて経絡に入る袪風湿薬・袪痰熱の生薬を増量した。

 緩解期の治則  緩則治本  不栄則痛

3ヶ月目、痛みの質が刺痛から重痛に次第に軽くなってきたので袪邪薬を減量し、気血や腎精を補い正気を増す本治(根本治療)の生薬を増量する。生命エネルギーが増えたことで、ついに記念すべき日が来た。67日目、前かがみくの字姿勢から解放された。と同時にA点のズキン痛は軽減、少しの距離が直立で歩行可になり生活の質はさらに向上した。

 初めての遠路外出 気めぐれば血もめぐる

7月26日横浜中華街で親しい漢方仲間の恒例の納涼会があり不安ながら、電車と徒歩で参加。30数年来のお付き合いの仲間たちから再発予防の貴重なアドバイスをいただいた。この漢方研究会は文殊の知恵の会で私にとっては何よりの財産。楽しい談笑の中「気」もいただき帰り道は患足が軽くなった。これはまさに「気行則血行」を体感。

後記;思いもかけず、3ヶ月の闘病生活を経験し、当初痛みで歩けないのがショックで、「早く治さなければ」の気持ちばかりが強く、焦った。Drから「歩けなくなる人もあるよ」もショックだった。
日頃、漢方薬養生をしていたつもりがオーバーワークが重なり病邪を強力なものにし、袪邪に手こずった。でも急性期はジタバタしてもダメなことがよくわかった。漢方の手ごたえを感じるのに時間がかかったが根本治療のできるのは漢方しかない!!を信じて。しびれや知覚麻痺の後遺症もなくすっきり治癒。漢方に感謝。

8~9月はウオーキングやサイクリング・ストレッチ・社交ダンスで筋力を養い、9月23日ついに通いなれた箱根・金時山1212mに登れた感激は忘れることができない。






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