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カテゴリ:痛みと漢方( 22 )
尿路結石の漢方治験例 
 65歳  男   BMI 22

数年にわたり、再発を繰り返す尿路結石に悩む。年に1~2回発作痛あり。ツアー旅行中にも発作痛が再発したことがあり、同行者にも大変な迷惑をかけてしまい好きな旅行も怖くて参加できなくなった。腎盂付近に砂状の結石が多数あると医師の診断。毎日が爆弾を抱えているようで不安でたまらない。e0024094_1147527.jpg
漢方薬で何かいい方法があるのかと来店された。

 激痛発作時、脇腹・下腹部から外陰部に放散する激痛、いつもより強い張るような腰痛、吐気、血尿(潜血)がある。

 既往症:7年前初期胃ガンOPE、高血圧症。

漢方所見: 舌は大きく(胖大)・白い苔が厚くある、尿遠く濃い・夜間尿3回、軟便、腰痛(ベルトラインの上)、膝の痛み(左右)。

漢方的分析: 舌の状態や軟便・吐気などから脾胃(消化器系)の水を捌く機能が低下がみられ、又、排尿異常・腰膝の慢性痛などがあることから腎の水を捌く機能も低下し、滞りがちな水湿は湿濁という病理的産物(汚れた粘液性の物質=ヘドロ様)に変化し、やがて熱を帯び尿液を濃縮し尿路に結石を形づくったと思われます。

漢方薬治療: 体の水分代謝を引き受けている脾・腎の機能低下(脾腎気虚)が結石を形づくったことから、脾腎の機能を高める二種の漢方薬を服用していただいた。一年間再発なし。
二年目から加齢に対し抗老防衰の意味で腎の働きを正常に保つ補腎薬のみを服用し、5年間痛みの再発はない。

発作期に対しては、りんどうの根の竜胆草・オオバコの種子の車前子・牛膝(イノコズチ)・くちなしの実の山梔子などの漢方薬を用意しましたが、その後再発の発作痛がないので一度も服用せず。


   筆者も35年前の激痛以来、漢方薬の補腎薬を服用し再発なしです。




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by home-k | 2010-02-25 11:50 | 痛みと漢方
尿管結石と漢方
 激痛を伴う尿路結石が食生活の変化に伴い増加しています。
尿は腎臓で作られ腎盂、尿管、膀胱、そして尿道を通り体外に排出されますが、尿の通り道に結石が詰まるのが尿管結石で激しい痛みを伴うのが常です。

 西洋医学では尿路結石の原因は特定されていませんが、一つの考え方として代謝異常や腎臓での排泄障害などから尿中に過剰にふくまれるようになった結石形成物質が析出しやすくなるために結石ができるとしています。e0024094_17195447.jpg

 中国漢方では、一歩踏み込んで前述の代謝異常や腎臓での排泄障害の原因の多くは暴飲暴食、お酒、甘味、油っこいものなどの過食が消化器・胃腸系に負担をかけ、またそのパワー不足(脾虚)のために生理的な物質に転化できず非生理的な汚れた水分として体内に留まる(痰湿・ヘドロ様物質)のが原因と考えています。

 こうして内生した痰湿はストレスやカロリー過多で発生した熱により徐々に熱を帯び(化熱)、湿熱の状態となり熱はさらに痰湿を濃縮して溶解しにくい病理的な物質を形成していきます(丁度ヘドロが濃縮されて固形物になる如し)。
湿熱は腎・膀胱などの尿路の正常な生理機能を乱しますので尿液はさらに濃縮されて尿路に結石を形成していきます。

 尿路に異物が詰まり尿の排泄ができなければ痛むのは当然で、突発性の腰痛や脇腹の激痛、下腹部から外陰部に放散するような激痛に見舞われます。

 中国医学ではこのような痛みの原因を「不通則痛=詰まって通じなければ痛む」と明快に説明していますので障害物を取り除くことを最優先します。

 中国では 排石湯 が繁用されていますが、日本では五淋散、猪苓湯、大柴胡湯、四逆散、五苓散、血府逐瘀湯、牛車腎気丸などなどが症状に応じて使われています。

 辛い痛みを伴う尿管結石は再発を繰り返し易いので、痛みのない安定期に体質の改善をするのが得策です。食養生は勿論のこと、余剰のカロリーは運動で減らし、消化器系や腎系の働きを改善する漢方薬で痰湿(ヘドロ様物質)を溜めないようにすることが大切です。

 筆者も35年前に晴天の霹靂の激痛を経験し驚きましたが漢方養生のお陰で再発は一度もありません。
次回に尿管結石の治験例を報告いたします。 



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by home-k | 2010-02-20 18:02 | 痛みと漢方